我々腹部外科医を悩ますものに開腹術後の「ゆ着性腸閉塞」がある。せっかく潰瘍や癌の手術は上手くいったのに、腸閉塞のため、再手術になったり入院日数が延びたりして御迷惑をかける。教授からは「原因は分っていない。体質かも?」と教わった。
所が2015年2月の英国の外科専門誌に面白い論文が掲載された。なんと「手術前と術後にガムをかんでいると術後腸閉塞を発症しにくくなる」というものです。この研究は18才以上で大腸の開腹手術を受けた120人(平均67才)が対象となっています。
ガムをかむグループ(58人)とかまないグループ(62人)に分け、ガムをかむグループは手術3時間前から1時時間あたり少なくとも3個以上のガムをかみ、また術後3時間以降もできるだけ早く「ガムかみ」を再開しました。その結果、腸閉塞の発症は、かまないグループの48%に比べかんだグループは27%と有意に減少しました。
入院期間もかんでないグループの14日に比べ、かんだグループは9.5日と統計的にも短いことが示されています。
腸閉塞の予防策として私も考えてみたいと思います。

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インフルエンザ予防にマスクをする人は多いのですが、そもそもマスクは効いているのか?

インフルエンザウィルスの大きさは0.1㎛ですが、マスクの網目はその50倍の5㎛です。

風邪のウィルスを含めてすべてのウィルスはマスクの網目よりはるかに小さく簡単に通過してしまいます。

それ故、マスクをしても外気中のウィルスを遮断することは出来ません。しかし、自分が咳やくしゃみをした時、空気中に飛散するウィルスを1割程度に減らせます。ウィルスも水分と一緒だとマスクを通過しにくいのです。つまり、マスクは「周りに迷惑をかけたないために役立つ」となります。

では病気でないときにマスクは無意味か?

マスクは鼻やのどを通る空気を加湿、加温してくれる加湿器なので湿気を嫌がる多くのウィルスに有効です。例えばインフルエンザウィルスは湿度60%以上になると感染力が激減すると言われています。

風邪の予防や咳エチケットにもマスクは欠かせないようです。

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50代以上の方には懐かしい「クジラ肉」。給食でよく出た「竜田揚げ」(たつたあげ)を思い出します。
日本捕鯨協会によると、その赤身肉に含まれるバレニンと呼ばれる成分が抗酸化力を高めて「抗疲労力」をアップさせるという。
クジラがあの大きな体で数千キロも泳げるのはバレニンのおかげと推測されています。
それ故、習慣的にクジラ肉を取ることによって疲れにくいカラダになるといいます。
またクジラベーコンの白い部分(うねす)や皮には魚介類と同じEPAやDHAがたっぷり含まれ、動脈硬化や生活習慣病の予防の期待も大きい。最近は認知症改善効果の研究も進んでいます。
是非、機会があれば食べてみて下さい。

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「最も栄養価の高い果物」とギネス認定されているのはアボカドです。愛媛でも栽培されるようになりましたが、一般流通しているのはメキシコ産のハス種と呼ばれる品種です。アボカドは抗酸化作用があるビタミンEが豊富で100g(小さめ1個)で成人女性の1日の摂取目標の半分を摂ることができます。他にも葉酸やカリウムも豊富です。
「森のバター」と称される通り、脂肪分が20%と多いのも特徴です。脂肪酸はオレイン酸で善玉コレステロールに影響を与えることなく悪玉コレステロールの増加を防ぐ働きがあります。また腸壁をなめらかにして便秘予防効果もあります。
100gあたり、187kcalあるので少ない量でしっかり栄養が摂れるため食の細い方や小さいお子さん、高齢の方にもおすすめです。
アボカドはゆで野菜やサラダ、魚介のどんぶりなど、さっぱりした料理に加えると全体にコクが出て満足度がアップします。その他、しょう油で味つけしたり、アンチョビやベーコンなどと一緒に炒めてもおいしいそうです。
是非、「森のバター」食べて下さい。

1480925743_img596(追伸)

いちょうの舞い散る中で遊ぶ ゆうちゃんでした。(和霊神社、和霊公園にて。)

 

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1955年発売のロングセラー商品「カンロ飴」。琥珀色の丸い飴玉。いつの時代も安定した人気で累計販売数は50億袋以上に及ぶと言う。
秘訣は砂糖と水飴と隠し味のしょうゆ。やはりカギとなるのはオリジナルのしょうゆ。飴の風味も色も専用しょうゆを使ってこそ実現する。地元の醸造メーカーと共同で焦げつかないしょうゆを開発しました。約3年がかりで完成した飴玉は54年に「カンロ玉」としてスタート。55年に「カンロ飴」となってブレークした。発売60周年を超える商品だけに根強いファンは多い。一方で若い世代の獲得は常に課題である。
60周年を越えてから親から子へつながるように改めて30代40代の昔食べたことがある人達にファンとなってもらうことで飴文化が継承されるのではないかと戦略を練っている。2粒入りの試供品の配布など行っている。
直径21mmの大玉はひと粒なめ切るのに10分強かかります。
せわしい時代こそ、ゆっくり時間をかけて味わうことで、ほっとひと息つきたいものです。
当院の受付も大のカンロ飴ファンが居ます。
がんばれカンロ飴!

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色々なオイルが雑誌やTVで取り上げられていますが今回はよく勘違いされている動物性の脂質について話します。
まずはマーガリンとバターについて。バターよりマーガリンの方がヘルシーと考えている人がいますがこれは間違いでマーガリンよりバターの方がベター。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は油脂を加工、精製する工程で出来るもので2008年には虚血性心疾患や心臓の突然死を増やすと報告されています。
トランス脂肪酸は以前(H27年10月8日)に話した通りで避けた方がよいと思います。
次に何といっても動物性食品から取って欲しい脂質の代表は青魚の脂です。EPAとDHAが脳にも血管にも良いことはよく知られています。EPA、DHAは熱に弱いため一番良い食べ方は刺し身です。焼き魚にするなら脂が落ちないようホイル焼きにしレモンと大根おろしで脂ごとソースにしていただくことがおススメです。
その他卵の黄身や白身魚、肉に多く含まれる脂質のアラキドン酸は脳を健康に保つ作用があります。
工夫して摂って下さい。

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膀胱がんは男性に多いがんです。菅原文太さん(享年81)は2年前にこのがんで亡くなっています。ステージ2でした。
5年生存率はステージ1が94%、ステージ2が87%ですが、ステージ2になると膀胱全摘手術が主流であり、文太さんはそれが嫌で抗がん剤+放射線治療を行い、7年間は元気に生活されました。
ステージ1は最近、内視鏡でがんを切除する例が多く、治療期間が1週間で済みます。俳優、黒沢年雄さんは08年に克服しましたし、最近ではキャスターの小倉智昭さん(68才)も内視鏡的切除で早々と復帰しました。
膀胱がんの特徴は排尿時の痛み、排尿回数の増加、そして何と言っても「血尿」です。検診で血尿のみが陽性の方は必ず膀胱がんを疑っています。(良性では尿路結石があります。)
国立がん研究センターの研究では膀胱がんのリスクとして喫煙が1番と書いています。吸わない人の発症リスクを1とすると喫煙指数(箱×喫煙年数)が大きくなるほどリスクが増加し、50以上は2.2倍に上ります。たとえ禁煙してもやめてから10年未満では1.8倍ですからリスクはあまり下がりません。小倉さんも03年に禁煙するまで毎日3箱吸っていたそうですから喫煙による可能性が大です。
とに角、禁煙+早期発見を心がけて下さい。

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専門医の間で「慢性病」は

①侵害受容性痛②神経障害性痛③精神心理的・社会的要因による痛み、の3つの種類に分けられるとあります。

①は転んで膝をぶつけて痛いと言った時に従来、よく使われるNSAIDsが効果を発揮する。

②は例えば帯状疱疹後の痛みのようにピリピリ痛い。①は正常な痛みの伝達系だが②は脊髄や脳神経の機能変化で異常を伝える信号が増幅した“異常な痛みの伝達系”でNSAIDsでは効かない。このことから慢性病の治療では①か②かの見極めが重要である。実際は①、②,③の混在もあるため、どれが最も大きな割合を占めるかを探らなくてはいけない。

①はズキズキ、重苦しい痛み、②はヒリヒリ、ピリピリ、ビリビリ、電気が走るといった痛み、といった患者の主訴を具体的に擬音語で表現させて医師はどういった痛みかを把握する努力が必要です。

②に関しては最近、新薬が数多く出ているので、適正な投薬が肝心です。

 

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昔から「お酒の強さは生まれつき決まっている」が定説でした。
しかし毎日飲むと確かに少しは強くなります。お酒の強さはアセトアルデヒドを分解する酵素の働きで決まります。アルコールは体内で変化してアセトアルデヒドとなり頭痛や吐き気を引き起こします。これがアルデヒド脱水酵素2型(ALDH2)。
ALDH2の働きは個人差が大きく確かにその「強さ」は先天的に決まっています。では最初に話した「少しは強くなる」はどうしてか?
近年、もう1つの酵素の存在が判明しました。その酵素は「ミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)」と言い、定期的にお酒を飲むと増えてきて酔いづらくなるのです。
かと言ってMEOSは無限に増える訳ではなく、過度のお酒の練習はアルコール依存症につながる恐れがあるので、やはり飲み過ぎには注意して下さい。

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(追伸)

11月13日(日)は七五三で、ゆうちゃん(7才)は、あでやかな姿になりました。

かわいいですね。

 

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今日11月14日はWHOが定めた日で、世界糖尿病デーです。インスリンの発見者フレデリック・バンディングの誕生日に当たり2006年12月の国連総会で公認されました。

世界各地でブルーライトアップを灯す行事が行われます。東京タワーもしかり。

さて今日は糖尿病にちなんで「砂糖税」のお話です。

WHOが10月11日に肥満や糖尿病を減らすため砂糖の入った飲料に対して課税を進めるよう各国に呼びかけました。理由は砂糖入り飲料の消費は「肥満や糖尿病の主因」で「政府が課税すれば命を救える」と考えたからです。WHOは昨年3月に1日当たりの糖分の摂取量を1日の総カロリーの5%未満に抑えると虫歯や肥満の予防効果が高いと指摘しています。

欧米では砂糖税を導入している国は多く、フランス・メキシコ・ハンガリー、米国カリフォルニア州バークレーなどに続いて英国でも2018年から導入が決定されています。

英国は「欧州の肥満大国」との異名があり肥満対策費に年間約6兆円を使っているそうです。

はたして日本は業界の反発もあり、どうなるでしょうか?

いずれにしても各自が糖分の摂取に関心を持つことはとても大事だと思います。

 

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11月5~6日と(娘のつわりが治まって)久しぶりにゆうちゃんがやって来た。

「ゆるキャラグランプリ」や「猫展」そして例の「ハゼの木」を見に行った。

私と立っている写真を見て、みんながゆうちゃんの背が伸びてきたと言ってくれた。

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