狼狽(ろうばい)する、という言葉はよく使われますね。「うろたえる」ことですが、この漢字、2文字共にケモノヘンです。二種類の動物を並べた熟語である。

「狼」はオオカミだが「狽」は?これはオオカミの1種だけども、想像上の動物である。というのは漢字博士、阿辻哲次さんの説明である。中国は明の時代の書物に「狼は前の二足長く、後ろの二足短し。狽は前の二足短く、後ろの二足長し。狼は狽無ければ立てず、狽は狼無ければ行けず、もし相い離るれば則ち進退すること得ず」とある。両者は常に一緒に行動する必要があり、どちらか一方が離れると、とたんに歩けなくなってしまう。それで、あわてふためき、うろたえることを「狼狽」というようになったのです。

ついでに狼の糞は燃料として使われ、燃やすと煙がまっすぐに上がることから、ノロシを上げる時の燃料にもってこいであった。ノロシを漢字で「狼煙」と書くのはそのためです。

漢字の成り立ち、面白いですね。