「一握の砂」が有名ですね。

これは三行分けによる散文的なスタイルの短歌です。若い世代を中心に多くの追従者を生みました。

故郷・岩手への望郷の想いや北海道時代の回想、また貧困と挫折で屈折した心情などを歌っている。

いくつかの歌を口ずさんでみましょう。

①ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく

②東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹(かに)とたはむる

③たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず

啄木の人気はこうした感傷性に支えられています。

不幸の中で彼は「泣きぬれ」る歌を残しました。

いくつもありますから口ずさんで下さい。