今日は芭蕉の持病についてお話します。
それは、切れ痔(裂肛)です。そんな悩みをうたった歌が「奥の細道」にあります。
「持病さへおこりて消入計(きえいるばかり)になん」。
(持病まで起こって苦しみのあまり気を失いそうになった。)
私の外来にも「切れ痔」の方は多く見えます。肛門の出口から2~3㎝の奥までを肛門上皮と呼びますが、そこが傷つき痛みや出血を伴います。多くは硬い便が出るときに傷がつきますが、下痢や柔らかい便でも力んだ時に傷がつきます。
前述の句は芭蕉が旅の途中で持病の激痛に襲われ苦しんでいたとき読んだとされています。
弟子の妙行あてに「持病下血などたびたび、秋旅四国西国もけしからずと、まずおもひとどめ候」と手紙を送っています。
持病の裂肛に悩みながらの2400㎞の奥の細道。
大変だったと察します。