高3の1学期も終わる頃、担任のS先生と面談があった。「越智は東大医学部(理Ⅲ)を目指してがんばれ」と激励された。さて、誰もが体験する天王山の夏休み。
自宅に帰ってさあ勉強と意気込んだが、とに角、実家は今治のど真ん中。(港町)。朝から宣伝カーが例えば「今日は〇〇パチンコ。新装開店」だとか騒がしくて勉強の環境ではなかった。一計を案じた母親の案で親父の実家、今治市新谷(にや)で勉強をすることとなった。1日目の夜、とても静かで、虫の音がジージー鳴くぐらいで勉強に集中出来た。朝はセミの鳴き声で、周りは見渡す限り田んぼである。夕食後はステテコで周りの田んぼ、畑を散歩した。まさに自然の中に1人ぽっちであるが、精神的にはすごく落ち着いていた。おばさんも力がつくように美味しい食事を毎回作ってくれた。時々、母親が私のためにステーキを差し入れてくれたようである。
そして夏休みも終わり、中間テスト、期末テストもまずまずの成績で通過し、いよいよ、年も明けて、東大への受験となったのである。
(つづく)